無限に広がる大宇宙・・・
そこには様々な生命が満ち溢れている・・・
死にゆく星、生まれくる星、
その生命から生命へと受け継がれる大宇宙の営みは永遠に終わることは無い・・・
このコーナーは、日本人なら誰もが名前くらいは聞いたとこがあるであろう1974年にTV初公開された日本SFアニメーションの古典的名作「宇宙戦艦ヤマト」をリメイクして実写映画作品として一般公開された「Space Battleship ヤマト」をベースとしてオリジナルへ近付けるようにシナリオを改変したものです。
オリジナルの「宇宙戦艦ヤマト」を本放送からリアルタイムで見てきた身としては、尺や予算などの様々な問題があるのでしょうが実写版「Space Battleship ヤマト」のシナリオは受け入れがたい部分があるのも否定できません。
私にとっての「ヤマト」とは、絶望的な状況での悲壮感の中、最後の決まった限られた時間の中で、目的にために諦めることなく最後まで全力で前へ進み続ける物語だと思っておりますし、御都合主義と紙一重とはいってもギリギリで危機を切り抜けていく姿に共感するのです。
そういう点では、ヤマトシリーズ後期の登場人物の「死」により悲壮感と感動を呼ぼうとしているように見えるシナリオも邪道だと思います。 もちろん、ヤマトシリーズの多くは「戦争」を描いているのも事実ですし、戦争である以上は「死」が避けられないのも事実でしょう。 しかし、それは任務を成しながらの避け得ない死であり自ら死に向かうものとは根本的に違います。
さらには、戦争には相手があり、敵にも戦争を行う理由があり正義があるというのも「宇宙戦艦ヤマト」では良く描かれており、敵を血の通う人間として描いたことにより物語に厚みがでたと思いますし、それまでのアニメでは余り見かけない敵側のキャラクターに多くのファンが現れた現象も起きました。
また、多くの方が指摘するようにヤマトシリーズには「ヤマト=大和」という側面もあるでしょう。 第二次世界大戦(太平洋戦争)が終わって約20年後より企画の開始された「宇宙戦艦ヤマト」には、敗戦時に少年期を過ごした製作者達の敗戦に対する鬱積した思いがあったでしょうし、大戦当時世界最大最強とされた日本海軍の「戦艦大和」が本当の力を発揮せずに満足な活躍をすることなく倒れた無念と国民の無念を乗せて活躍させたいという気持ちがあったでしょう。
それが、他のアニメと違う独特の悲壮感を物語に乗せていたと思いますし、これら多くの要素が絡み合って「宇宙戦艦ヤマト」の世界を作っており、時代が変わっても我々に様々なメッセージを送ってくれていると思います。
実際にはTVでの初公開(航海)から35年以上経った今となっては、見ている人それぞれに違った思いがあるでしょうし、それぞれに違った「ヤマト」があるといっても良いでしょう。 もちろん、私にも私の「ヤマト」があるということで、このストーリーを見て頂ければ幸いです。
また、作中で使われているヤマト世界の独自単位である宇宙キロと宇宙ノットですが、本編では都合により辻褄の合わない場合もありますが(笑) 一応、1宇宙ノット=光速/1,000、1宇宙キロ=約300キロメートル(1宇宙ノットで1秒間に進む距離)で、1光年=約3,156万宇宙キロと規定していますので目安にしてください。(14万8,000光年が如何に膨大な距離か・・・)
それと、その他の作中で書かれていない部分はTV版初代宇宙戦艦ヤマトに概ね準じるものとして読まれる皆さんで脳内補整して頂けると助かります・・・(汗)
* * * * * * PS * * * * * *
先日ネット上で初代ヤマトの物語は戦中から戦後復興時の日本のオマージュであり波動砲は核兵器を表しているという論文をみて考えさせられました。
その論文によると、ガミラスは戦争相手としての圧倒的物量と科学力を誇るアメリカであり、イスカンダルは戦後復興を助けた慈愛溢れるアメリカで、この二連星は超大国アメリカの二面性を表しており、ヤマト最大の武器で初代作品中を通して5度使用された波動砲も、人類で唯一戦略核攻撃を受けた日本人として使用を躊躇う禁断の兵器として描かれており、試射として何も分からずに使用された木星以降は人間が存在している目標へは発射されていないという指摘に驚きました。
どこかで読んだ記憶がありますが、初代ヤマトの物語は戦争ドラマではなく冒険ドラマであり、波動砲はあくまでも未知の自然障害を排除するための最後の切り札となる武器であり、戦艦としての主砲と呼ばれるべき主力兵器は9門のショックカノンなのだという説明・・・
確かに私の考えと一致する点が多く、天一号作戦での片道特攻として失われた史上最大最強の戦艦である戦艦大和にせめて艦隊戦を行わせてやりたかった、そして何としても沖縄にたどり着き生きて帰って欲しかった、という日本人の思いが宇宙戦艦ヤマトには込められているというのは全く納得するところですが、波動砲の指摘は深いですね・・・
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